2006年11月23日

ホタルブクロ


 そのまっ黒な、松や楢の林を越えると、俄かにがらんと空がひらけて、天の川がしらしらと南から北へ亘ってゐるのが見え、また頂の、天気輪の柱も見わけられたのでした。つりがねさうか野ぎくかの花が、そこらいちめんに、夢の中からでも薫りだしたといふやうに咲き、鳥が一疋、丘の上を鳴き続けながら通って行きました。
[銀河鉄道の夜]より



ホタルブクロを見上げて


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2006年11月19日

うめばちそう


「(中略)ね、ごらん、こっちのうめばちそうなどはまるで虹のようだよ。むくむく虹が湧いてるようだよ。ああそうだ、ダイヤモンドの露が一つぶはいってるんだ。」
 ほんとうにそのうめばちそうは、ぷりりぷりりふるえていましたので、その花の中の一つぶのダイヤモンドは、まるで叫び出す位に橙や緑や美しくかがやき、うめばちそうの花びらにチカチカ映って云うようもなく立派でした。
[十力の金剛石]より



うめばちそう


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2005年09月13日

リンドウ


 ごとごとごとごと、その小さなきれいな汽車は、そらのすゝきの風にひるがへる中を、天の川の水や、三角点の青じろい微光の中を、どこまでもどこまでもと、走って行くのでした。
「あゝ、りんだうの花が咲いている。もうすっかり秋だねえ。」カムパネルラが、窓の外を指さして云いました。
 線路のへりになったみじかい芝草の中に、月長石ででも刻まれたような、すばらしい紫のりんだうの花が咲いていました。
「ぼく、飛び下りて、あいつをとって、また飛び乗ってみせようか。」ジョバンニは胸を躍らせて云いました。
「もうだめだ。あんなにうしろへ行ってしまったから。」
 カムパネルラが、さう云ってしまふかしまはないうち、次のりんだうの花が、いっぱいに光って過ぎて行きました。
 と思ったら、もう次から次から、たくさんのきいろな底をもったりんだうの花のコップが、湧くように、雨のように、眼の前を通り、三角標の列は、けむるように燃えるように、いよいよ光って立ったのです。
[銀河鉄道の夜]より



リンドウ_all.jpg


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2005年09月02日

かたくり


 その窪地はふくふくした苔に覆われ、所々やさしいかたくりの花が咲いていました。若い木だまにはそのうすむらさきの立派な花はふらふらうすぐろくひらめくだけではっきり見えませんでした。却ってそのつやつやした緑色の葉の上に次々せわしくあらわれて又消えて行く紫色のあやしい文字を読みました。
「はるだ、はるだ、はるの日がきた、」字は一つずつ生きて息をついて、消えてはあらわれ、あらわれては又消えました。
「そらでも、つちでも、くさのうえでもいちめんいちめん、ももいろの火がもえている。」
 若い木霊ははげしく鳴る胸を弾けさせまいと堅く堅く押えながら急いで又歩き出しました。
[若い木霊]より



Erythronium japonicum.jpg


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2005年09月01日

あざみ


寂しさはあざみに湧きて白雲の種山ヶ原にみちみちにけり。
短歌[種山ヶ原](「アザリア」所収)より



Cirsium japonicum_F.jpg


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2005年08月28日

アイリス


まっ青に朝日が焼けて
この山上の野原には
濃艶な紫いろの
アイリスの花がいちめん
靴はもう露でぐしゃぐしゃ
図板のけいも青く流れる
詩[種山ヶ原]より


■「アイリス」とは、アヤメ属(Iris)の仲間の総称。ギリシャ語では「虹」。ギリシャ神話では「虹の女神アイリス」として登場するそうな。画家ゲランが描いた[イリスとモルフェウス](←エルミタージュ美術館のサイトへ)には、虹の女神が夢のように降り立つ。
■賢治が残した詩[種山ヶ原]の下書稿には「虹」の言葉も綴られている。

たくさんの藍燈で照明された
掬やいたやの巨きな青い緑廊(パーゴラ)を
水はつめたく渉ってくる
照明の下ではレンズになってほのほをあげ
またプリズムが虹や反射の光を射たり
陰影では石油に変ったり
たのしくたのしくこの谷水はながれてくる
詩[種山ヶ原(下書稿一)]より


■美しく儚い虹。種山ヶ原の藍燈から生まれた虹に、賢治は何を想ったのだろうか。



Iris ensata var. spontanea_Fup.jpg

【写真】ノハナショウブの花。アヤメ属の仲間だ。


Iris ensata var. spontanea_all.jpg

【写真】ちなみに賢治は、かきつばたの花を折ってきたと下書稿で記している。花の中央、くさび状の斑紋が、カキツバタは白、ノハナショウブは黄である。花が疲れてくると、ノハナショウブの斑紋も白っぽくなる気がするけれども。


■ノハナショウブ(野花菖蒲)
■学名:Iris ensata var. spontanea
■別名・方言:
■アヤメ科アヤメ属
■撮影地:岩手県

update:2005-08-29
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2005年08月27日

ヌスビトハギ


大臣の子はぼんやり答えました。
「ええ、王子さま。あなたのきものは草の実で一杯ですよ。」そして王子の黒いびろうどの上着から、緑色のぬすびとはぎの実を一ひらづつとりました。
『十力の金剛石』より


■「十力」とは、仏のもつ十種の智力のこと。「金剛石」とは、ダイヤモンドのこと。王子が見つけた「十力の金剛石」とは何だったのか?珠玉の作品なので、ぜひご一読を。


nusubito_flower.jpg
【写真】ヌスビトハギの花。小さな小さな花だが、ルーペで覗くとマメ科の仲間であることが分かる。ヌスビトハギの花は、一度昆虫が訪れると、飛び出した雄しべと雌しべが花の中へ再び戻ることはないようだ。この写真は、虫が訪れた後の姿


nusubito_s.jpg
【写真】ヌスビトハギの果実。人や動物にくっついてタネを運んでもらう「ひっつき虫」。『十力の金剛石』に登場する王子も、森の中を進むうち、ヌスビトハギにヒッチハイクされたようだ。



■ヌスビトハギ(盗人萩)
■学名:Desmodium oxyphyllum
■別名・方言:
■マメ科ヌスビトハギ属
■撮影地:北海道

update:2005-08-27
posted by happyisland at 11:08| 岩手 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 賢治が紡いだ花 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月26日

「賢治が紡いだ花」カテゴリについて

■宮沢賢治の作品が好きです。そして、植物の写真を撮るのも好き。
■種山ヶ原は、宮沢賢治の作品に縁が深い場所でもあります。そこで、宮沢賢治の紡いだ花や植物を「賢治が紡いだ花」カテゴリで紹介したいと思います。

■ただ僕自身は、宮澤賢治のことについて詳しいわけではありません(^-^; 本カテゴリを見て思い浮かんだことがある方は、ぜひぜひコメントをお寄せいただきたいと思います。

掲載する写真は、個人的な蔵出し写真を使おうと思っています。種山ヶ原森林公園で出逢える植物とは限りませんので、くれぐれもご注意下さいm(__)m

宮澤賢治と植物についての本をご紹介
posted by happyisland at 23:16| 岩手 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 賢治が紡いだ花 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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