2005年10月27日

紫珠

■「あぁ、自然は何て美しい色を創ったのだろう」と、秋に彩られた森で感嘆することがあります。個人的には、その代表格が、ムラサキシキブの実です。
■先日、森の案内人の皆さんと町内の雑木林へ分け入ると、雨の中、ムラサキシキブの実が静かに微笑んでいました。

051023ムラサキシキブ1.jpg

051023ムラサキシキブ2.jpg

■紫珠(しじゅ)とも呼ばれるムラサキシキブの実。紫式部という名も相まって、小さく可愛らしい紫に魅せられます。

■ムラサキシキブを写真に収めていたところ、案内人のおじさま曰く。「ムラサキシキブは、鹿踊りで使う太鼓のバチに使ったんだよな。堅くて、よくしなるんだ。この木はちょうど良い太さだなぁ」。

■鹿踊りは、「ししおどり」と読みます。鹿の頭をかたどったものをかぶり、念仏調の歌と豪快な太鼓の音とともに舞う民俗芸能です。僕の住む住田町でも受け継がれていて、同僚の人も踊ることがあります。
■案内人のおじさまは、かつて、鹿踊りで使う太鼓のバチをムラサキシキブで作ったそうです。古くから、ムラサキシキブが使われてきたのでしょうね。

鹿踊り_1.jpg

鹿踊り_2.jpg

鹿踊り_頭(かっしゃ).jpg
【写真】2005.10.30のすみた産業祭りで撮影。高瀬の方々が舞う。激しい踊りとともに独特のリズムで太鼓の音が響く。湧き上がるエネルギー、胸に響く鼓動。

■そもそも鹿踊りは、悪霊を鎮めるための踊りとも言われているようです。奈良の春日大社などを例に、古くから鹿は、日本で神聖視されてきたようですね。映画「もののけ姫」のシシ神様も、そんな信仰をモチーフにしたのかもしれません。

■宮澤賢治の作品にも鹿踊りは登場します。


海だべがど、おら、おもたれば
やっぱり光る山だたぢゃい
ホウ
髪毛風吹けば
鹿踊りだぢゃい
詩[高原]より



■またムラサキシキブは、大工さんが「込栓」に使ったとも聞きました。込栓とは、ほぞを継ぐ場合や、横木(貫)で柱を連結する場合など、木材の接合部を固定するために打ち込む小さな木片だそうです(ちと、説明が下手(^-^; なので、コチラを)。

■我が町を含む気仙地方には、「気仙大工」と呼ばれる優秀な技能集団がいて、江戸や明治の頃には仙台周辺へ出向き、多くの建造物を残したそうです。地元にも、気仙大工が建てたとされる社寺や民家が残っています。今でもその技術を受け継ぐ大工さんが町内にいらっしゃるようです。
■では、込栓と気仙大工との関係はあるのか?気になって調べてみたら、吊束(つりづか)と呼ばれる気仙大工独特の技術に込栓が使われているではありませんか(^^)V
■気仙大工が用いた込栓は、ムラサキシキブで作られたのか、定かではありませんが・・・・今度、聞いてみよう。

■ちょっと話がマニアックになったかな・・・・

■鹿踊りと込栓。秋を彩るムラサキシキブは、この地域の暮らしにも彩りを添えてきたのかもしれません。


それから、そうそう、苔の野原の夕陽の中で、わたくしはこのはなしをすきとおった秋の風から聞いたのです。
童話[鹿踊りのはじまり]より



■ちなみに、種山の森でもムラサキシキブの実を愛でることができます。ぜひ、フィールドでご堪能あれ。

041030ムラサキシキブ.jpg
【写真】昨年の今頃、種山の森にて

◎参考にさせていただいた本をご紹介


高橋 恒夫 / INAX出版(1997/02)




◎トラックバック・ピープル:ツリーウォッチング

update:2005-10-31


posted by happyisland at 00:49| 岩手 | Comment(6) | TrackBack(0) | 暮らしの中の自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。お邪魔させていただきました、wakoと申します。
すごく綺麗ですね!私も草木や山が大好きなので、このページにすごく惹かれてしまい、興奮して読ませていただきました。
とても綺麗な写真を撮られるんですね!!私も写真を撮りたいと思っているので、すごいなぁと思いました。
また遊びに来ます☆
Posted by wako at 2005年10月27日 08:36
おはようございます、happyislandさん。

きれいですね、紫式部。
街では園芸種のコムラサキが、しだれた枝にお行儀よく実を並べていますが、
やはりその整いすぎた姿は、いかにも不自然で造り物然としていてなじめません。
図鑑で見る紫式部の野趣あふれる姿に憧れて居ました。

たまに街中でも紫式部を見かけますが、わびしさばかりが目立って、
周りの景色になじみません。
やはり野に置け…とは別の花に言う言葉ですが、
この実もまた、野にあってこそ、山で見てこその美しさですね。
また、写真がよく撮れてること!流石です。

昨今のナチュラル志向の為なのか、家具や建築などで釘、ボルトの代わりに木を使った物を
目にする機会が増えました。
金物並の強度を発揮するこれらの部品は、何の木を使うのかと思っていましたが、
紫式部もその一つ なのかもしれませんね。
「込栓」…また一つ、勉強になりました。

ありがとうございました。
Posted by はもよう at 2005年10月27日 09:34
ムラサキシキブの紫色は本当に綺麗というか、美しいですね。
でも、私なんかホームセンターやお花屋さんでしかまだ見たことがないのですが、自然の中でそれを見ると、本当のムラサキシキブを感じられるのでしょうね。
Posted by gardeningspot at 2005年10月27日 22:20
*wakoさん*
はじめまして!コメントをありがとうございますm(__)m お褒めいただいて嬉しいです。単純おバカな私は、調子に乗ってしまいそう(^-^;
写真はドクガクなので、いつかきちんと習いたいとも思っています・・・・たくさんのブログに美しい写真が掲載されているので、すごいぃぃ〜!と眺めていることが多いかも。
ぜひまた遊びに来てください(^o^)/
Posted by happyisland at 2005年10月28日 01:54
*はもようさん*
いつもコメントをありがとうございますm(__)m

コムラサキって、まだ見たことがなかったりします(^-^; 図鑑で見ると、確かに整ったお姿ですよね。
この写真は、ほだ木の原木を生産するため、数十年前伐採したというコナラの林で撮りました。雑木林の中では結構地味だったりして、2回目に行ってから初めて気づいたのですよ(^-^; 見つけた時には、とても嬉しかったです。

込栓にも反応して下さって、とても嬉しいです(^^)V 家具や建築などで、見る機会が増えているのですねぇ。大量生産しなければならない今は、何の木が使われているのでしょうか。興味が湧きます。
Posted by happyisland at 2005年10月28日 02:08
*gardeningspotさん*
コメントをありがとうございますm(__)m

実は、一番下の写真のムラサキシキブは植栽されたものなのです。舗装された道のすぐ脇で見ることができます。半自然(?)てな感じですが、それはそれで美しいし、子供たちにも気軽に魅せることもできます。

森の中で見るムラサキシキブは、地味かもしれません。その奥ゆかしさが好きでもあります(⌒‐⌒)

最近ではむしろ、お花屋さんのムラサキシキブに興味があったりします。ブログのお陰かもしれません。

今後ともよろしくお願いします!
Posted by happyisland at 2005年10月28日 02:33
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。