2005年09月13日

リンドウ


 ごとごとごとごと、その小さなきれいな汽車は、そらのすゝきの風にひるがへる中を、天の川の水や、三角点の青じろい微光の中を、どこまでもどこまでもと、走って行くのでした。
「あゝ、りんだうの花が咲いている。もうすっかり秋だねえ。」カムパネルラが、窓の外を指さして云いました。
 線路のへりになったみじかい芝草の中に、月長石ででも刻まれたような、すばらしい紫のりんだうの花が咲いていました。
「ぼく、飛び下りて、あいつをとって、また飛び乗ってみせようか。」ジョバンニは胸を躍らせて云いました。
「もうだめだ。あんなにうしろへ行ってしまったから。」
 カムパネルラが、さう云ってしまふかしまはないうち、次のりんだうの花が、いっぱいに光って過ぎて行きました。
 と思ったら、もう次から次から、たくさんのきいろな底をもったりんだうの花のコップが、湧くように、雨のように、眼の前を通り、三角標の列は、けむるように燃えるように、いよいよ光って立ったのです。
[銀河鉄道の夜]より



リンドウ_all.jpg


■リンドウは、山野に生える秋を代表する植物。里山の植物ではあるものの、秋の七草には選ばれていない。七草よりも咲く時期が遅いからだそうな。
■カムパネルラは、ススキの中に咲くリンドウを見て「もうすっかり秋」だと感じている。
■秋は秋でも、「深まる秋を告げる花」と言えるのではないだろうか。

■北国で花々に出逢ってきた僕は、リンドウの仲間がほころぶ姿を見ると、その年の花暦の終わりを感じる。「あぁ、今年も花を見るのは終わりだなぁ・・・・」と。長ける秋の切ない想いは、今のところ、居を移しても変わることがない。

■「きいろな底をもったりんだうの花のコップ」。花に鼻を近づけると、かすかな甘い香りに包まれる。霜が降りる頃まで咲くリンドウは、コップの底にたくさんの密をたたえ、越冬するマルハナバチの女王を誘い込むという。
■ちなみにリンドウ属の花は、陽が当たる時のみに開き、曇りの日や雨の日には花を閉じてしまう。コップへ雨水がたまらないようにしているのだろうか?


フデリンドウ_F.jpg

【写真】一方で、春にほころぶリンドウの仲間も忘れがたい。その気になって春の息吹に目を向けないと見落としてしまいそうな、小さな小さな花を咲かせるフデリンドウ。淡い紅紫色の花に出逢ったら、感動もひとしおだ。


ツルリンドウ_fr.jpg

【写真】こちらは、ツルリンドウの実。寒々とした冬の森に、宝石のような赤が輝く。花の時季は、ちょうど今頃。



■リンドウ(竜胆)
■学名:Gentiana scabra var. buergeri
■別名・方言:
■リンドウ科リンドウ属
■撮影地:岩手県

■フデリンドウ(筆竜胆)
■学名:Gentiana zollingeri
■リンドウ科リンドウ属
■撮影地:北海道

■ツルリンドウ(蔓竜胆)
■学名:Tripterospermum japonicum
■別名・方言:
■リンドウ科ツルリンドウ属
■撮影地:岩手県

※関連記事:「賢治が紡いだ花」カテゴリについて

update:2005-09-12
posted by happyisland at 00:21| 岩手 ☀| Comment(7) | TrackBack(3) | 賢治が紡いだ花 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
とても美しい公園ですね。

ブログをみて機会があれば行ってみたいと思いましたが、花や植物をみるのにおすすめな時期は何月ぐらいなのでしょうか?
Posted by k at 2005年09月14日 19:36
kさん、コメントをありがとうございますm(__)m種山の森へいらしていただくことは、このブログの目的の一つなのでとても嬉しいです(^^)V

個人的には、早春がお勧めです。春植物が彩る森は、とても美しいですよ。年によって花の盛りの時季は異なりますが、おおよそ4月下旬から5月上旬にかけてでしょうか。
-----------------------
ここからはkさんへのコメントではなく、皆様へのメッセージです。

インターネットという媒体の性格もあり、本ブログでは、種山で出逢える花々(草本)をあまり掲載しないことにしています。訪れた皆さんには、必ずマナーを守っていただきたいと切に願いますm(__)m
また今年は、種山の森を訪れた皆さんが、森の見所を楽しめるような準備も進めています。その様子は、今後ブログに投稿していきますので、よろしくお願いします(^O^)/
Posted by happyisland at 2005年09月14日 22:17
はじめまして。コメントとトラックバックありがとうございました。
Flower Blog Ringに加入しながら、ご挨拶がおくれてすみません。
私はもともと植物にはうとくて、ブログを通じていろいろな方々に導いていただきながら、足を踏み入れたところです。
おかげさまで、少しずつですが、植物の世界のおもしろさと深さを感じることができるようになってきました。
今後とも、よろしくお願いいたします。

それにしても、種山ヶ原は圧倒されるほど素晴らしいですね。
ぜひ、カメラかついで行ってみたいです。(あ、カメラもブログを始めてから買いました。手探りです(^_^ゞ)
Posted by noel at 2005年11月15日 01:15
つづけて、すみません。
リンドウのコップの話は楽しいですね。
私が写真を撮ったときも閉じてる花があったのですが、ハチくんはたくみにこじあけて、潜り込んでいました。
こちらからも、TBさせていただきます。
Posted by noel at 2005年11月15日 01:23
*noelさん*

お返事が大変遅れまして、失礼いたしましたm(__)mコメントとトラックバックをありがとうございます。

そうですか、ハチくんはたくみにこじあけるのですね。すごい!見てみたいなぁ。

ぜひぜひ種山にカメラをかついでお越しいただけたらと思います。
カメラって面白いですよね。写真を撮る気になると、今まで知らなかった自然の美しさに気がついたりして。

種山ヶ原は、あっという間に雪化粧してしまいました。
今後ともよろしくお願いいたします!
Posted by happyisland at 2005年11月19日 02:13
happyislandさん こんにちは
そちらはぐっと寒そうになりましたね。
リンドウのこといろいろ知れて嬉しいです。
コップね・・・なるほど!
『銀河鉄道の夜』はまた読みたくなりました。このくだり覚えておりません・・・(汗;)

10月の末、山で初めてリンドウを見ました。
お日様が大好き〜☆って感じで輝いていましたよ。TBしま〜す。
Posted by 池田姫 at 2005年12月01日 11:09
*池田姫さん*

コメントとトラックバックをありがとうございます!
山で初めてリンドウを見られたのですね!大きくコップを広げた花が、お日様燦々だったことを物語っていますよねぇ。
僕も、初めてリンドウを見たときには感動したなぁ。

今後ともよろしくお願いします!
Posted by happyisland at 2005年12月03日 22:31
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竜の胆
Excerpt: リンドウ(竜胆/リンドウ科)が盛りでした。 リンドウといえば濃い紫色と思っていましたが、いろんな色があるもんですね。 根が竜胆瀉肝湯などの漢方薬にも使われています。 そうとう苦いらしいです。 ..
Weblog: 荒れ庭の花たち
Tracked: 2005-11-15 01:40

三峰山の植物
Excerpt:                   りんどう(竜胆) リンドウ科              可憐な植物に会うと疲れも吹き飛びます                 お日様をいっぱい浴びていま..
Weblog: 池田姫のきままLife
Tracked: 2005-12-01 11:12

リンドウ
Excerpt: 悲しくて泣き疲れたときはお砂糖入りのミルクティ。お腹からほっとあったたまって、湯気で腫れぼったいまぶたが柔らかくなって、しょっぱく乾いた喉が甘くなる。赤茶の気持ちもほんわかミルク色。゚・*:..。o○..
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