寂しさはあざみに湧きて白雲の種山ヶ原にみちみちにけり。短歌[種山ヶ原](「アザリア」所収)より

■先日、「賢治は暗いから好きになれない。悪いけど」とある方から言われた。寂しさがあざみから湧いて種山ヶ原に満ちる。そんな短歌に触れると、「確かになぁ〜」とも思う。
■友人からこんな話を聞いたこともある。「俺は、人が弱いところを見せると、とてもその人に親近感が湧くんだ。完璧な人なんていないだろうし、その『弱さ』に、人間らしさを感じるんだよね」。
■大なり小なり、人は寂しさを抱えているのだろう。ハリウッドのおバカな映画を時々観たくなるように、現実から離れた時くらいは楽しさに包まれたいこともある。反面、関係のない他人の寂しさが、自分の寂しさにそっと寄り添ってくれることもある。
■あざみに湧いた寂しさに、賢治がちょっぴり近づいた気がする。ちょっと内省的かな(^-^;

【写真】ノアザミの姿。あざみの種類は多いけど、あざみの仲間の中でもいち早く花を咲かせる。ピンク色の頭花の下、黒い部分を触るとネチョネチョしていることも特徴。ちなみに賢治の作品に出てくるあざみは、ナンブアザミという種類だそうな。

【写真】ピンク色の花の部分を軽く指でこすると花粉が湧き出る。花へやって来た昆虫のわずかな振動を逃さず花粉を運んでもらうための<花の知恵>。
■ノアザミ(野薊)
■学名:Cirsium japonicum
■別名・方言:
■キク科アザミ属
■撮影地:岩手県
update:2005-09-01