2005年06月29日

カツラ

katura_tree.jpg
【クリックすると拡大します】
せせらぎの広場から水辺の広場へ向かう途中に佇むカツラの大木。一体どのくらい長い間、同じ場所からこの森を見つめ続けてきたのだろうか?

■カツラ科カツラ属
■学名:Cercidiphyllum japonicum
■和名:桂
■別名・方言:オコーノキ(岩手)
■分布:北海道、本州、四国、九州
■落葉高木
■葉:ハート形
■花期:4月〜5月
■性型:雌雄異株
■風媒花
■風散布
■冬芽:対生
■用途:建築材(床の間の地板等)、家具材、彫刻材、碁盤・将棋盤、琵琶の胴等

甘い香りの正体

■新緑の時季、森へ入ると、甘く清々しい匂いに包まれます。カツラから漂う香りのようです。
■「カツラ」の語源は「香出(かづ)」と言われます。かつては夏から秋にかけて葉を採り、香にして用いたそうです。
■ちなみに中国で「桂」は、クスノキ科の「肉桂(ニッケイ)」などのこと。「シナモン」といった方が、今はとおりが良いかもしれません。

■宮沢賢治『春と修羅』「〔いま来た角に〕」より
なんでもそらのまんなかが         
がらんと白く荒さんでゐて         
風がおかしく酸っぱいのだ・・・・・・       
風・・・・・・とそんなにまがりくねった桂の木


katura_fallCs.jpg
【写真】秋、車を走らせていると、黄金色に染まるカツラの大木が目に入った。何て美しいのだろう・・・・沢沿いに残るカツラの大木は一年を通じて、私たちの目を楽しませてくれる。

稀なチャンスも気長に数打ちゃ当たる

■これまで私は、必ずと言って良いほど、湿った場所でカツラと出逢いました。川沿いに車を走らせ木々に目を配ると、カツラ独特の樹形が留まるもの。カツラは、山地の谷沿いやよく肥えた平原、渓畔などに生育します。

■川沿いで、カツラが生えている場所を見て下さい。川から一段高くやや安定した場所で枝葉を広げていませんか?
■これは、大きな洪水や土石流が発生して土砂が堆積した後、カツラが芽生えた証拠だと考えられます。
■大きな洪水で木々が流され土砂が堆積した場所は、水や養分が豊富で明るい場所です。しかし、大きな洪水は、そう頻繁に発生しません。また、いつ起こるのかも予測不可能です。チャンスは稀で先が見えないもの。
■カツラは、どの様な戦略で、このチャンスをつかみ子孫を残すのでしょうか?

■大きなカツラの木の周りには、数多くの株立ちが決まって見られます。大きな幹が折れていても、新しい幹が伸びて生きるたくましい特徴を持ちます。上の写真もその一例です。
■カツラは、萌芽した幹や枝を伸ばすことによって、同じ場所に留まり続けます。1000年以上の樹齢を持つ個体もあるそうです。
■寿命が長いから、次の大きな洪水を待つことができます。

Cercidiphyllum japonicum_2.jpg
【写真】川沿いに佇むカツラ。住田町内の美しい川辺には、このようなカツラの大木に数多く出逢えます。


■またカツラは、小さなタネを毎年のようにたくさんつけます。タネには翼がついており、風によって運ばれます。「数打ちゃ当たる」作戦。

■同じ場所に長く佇み、たくさんの小さなタネを飛ばし続けること。大きな洪水や土石流の後という稀なチャンスをつかむしくみのようです。

■自然や人間によって、生態系が壊されたり改変されたりすることを「攪乱(disturbance)」と呼びます。火事、台風、土石流や森林の伐採などがその典型です。
■攪乱は、木々たちにとって、新たに子孫を残すチャンスでもあります。また、これからの森作りを考える上でも重要な言葉だと思います。

■カツラは、「大きく稀な攪乱」に適応した種と考えられます。

katura_leaf.jpg
【写真】カツラの葉っぱ。ハート形の可愛い姿です。

【参考にした主な本など】
中川「木偏百樹」
中静『森のスケッチ』東海大学出版社
森『北方落葉広葉樹のタネ -取扱いと造林特性-』北方林業会

update:2005-06-29


posted by happyisland at 23:20| 岩手 ☀| Comment(4) | TrackBack(1) | 種山ヶ原樹木図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Posted by at 2005年11月06日 16:00
桂の木を売っている、もしくは譲ってくれる方連絡ください。かなりいそいでいます。140〜160センチ丈の物をさがしています。
Posted by 小道具 at 2005年11月11日 16:18
お久しぶりです、happyislandさん。
「カツラ」についての記事を書きました。
こちらの記事のことも”勝手に”紹介しちゃったので、ご報告TBしておきます。
お暇ができたら見て下さいね。(^^)/
Posted by はもよう at 2006年02月22日 09:18
*はもようさん*

すっかりお返事が遅れてすみませんm(__)m 久々に復活しました。ブログの投稿の仕方を忘れてしまう始末で・・・・

ご紹介、ありがとうございます。こうやって遊びに来ていただけると、投稿する意欲も湧きます。嬉しい限りです。

そちらはすっかり春の気配に包まれているようですね。今後ともよろしくお願いします!
Posted by happyisland at 2006年03月14日 01:31
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「対生」っていうこと
Excerpt: 昨日も曇り空でした、我が家の方。 雨こそ降りませんでしたが、薄雲に覆われて、見た目はとっても寒そうな一日でした。 でも、気温は14℃まで上がりましたし、 寒いって言っても、もう、たいしたこと無いなぁ~..
Weblog: 公園おさんぽ日記
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