2005年06月23日

自然と人が交感する種山ヶ原

■「森の保育園」カテゴリの記念すべき初投稿にあたり、世田米保育園・吉田光也園長に寄稿していただきました。先生、ありがとうございますm(__)m
■実はこの文章をいただいて、じっくりと読んで、かなり感動してしまいました。「森の保育園」を現場で実践される考え方と想いが、しっかりと伝わってくるからなのでしょう。
■ぜひぜひ、全文をお読みいただければと思います!




「自然と人が交感する種山ヶ原」

  町内の保育園で取り組んでいる「森の保育園」をご紹介したいと思います。この活動は「自然や動植物への関心を持ち親しむことを通して、豊かな心情の醸成に努める」ことが目的です。これは、豊かな自然のなかで育まれる「自然保育園」の考え方でスウェーデンの「森の幼稚園」をモデルとしています。子どもたちは、川遊びや落ち葉拾いなど四季を通じた日々の体験活動の集大成として、宮沢賢治作品の舞台となった種山ケ原で四季の移ろいを実感しています。

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【写真】5/20に行われた森の保育園より、住田高校のボランティアの方と手をつないで


今年度は、春・夏・秋と三回実施しました。実施の前には、宮沢賢治作品の読み聞かせや紙芝居の事前指導で、この物語の場所に行くんだという期待感を高めます。そして種山ケ原に着くと見渡す限りの自然の中で、子どもたちは素直な感情を言葉にします。春・残雪の山々を目にし「あっ富士山だ」「雪の形が桃みたい」、、、。夏・高原に咲く小さい草花を目にし、思いやりの言葉が素直に出ます。「今日来られなかった○○ちゃんに持っていきたいね」、、、。秋・絵本でしか見たことのない帽子をかぶったドングリに狂喜乱舞。体中のポケットというポケットに山のように押し込んで得意げに歩きます。そして、子どもたちは遊具も何もない草原で工夫して遊ぶことを自然と身につけているのです。

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【写真】みんなドングリひろいに夢中です


  保育園では、まず、大人が子どもに感動を伝える言葉を知る必要があると考え、宮沢賢治のこと、森林と人との関わりのこと、種山ケ原のことなどの事前学習会を数回実施しました。その中で印象深かったのは、宮沢賢治研究家の赤澤義昭先生をお招きしたときのことでした。丁度梅雨の時期でしたが、「雨の種山ケ原は幻想的です」と実際に現地を歩きながらお話をうかがう機会を得たのでした。先生は、「種山ケ原は動物・植物・地質・気象・音楽等によって構成される場であり、自然(雲や風や霧や光)が変動流動してやまず、自然と人との交感が可能な場所である」「賢治作品のジャンルは、短歌・口語詩・童話・文語詩・歌曲と広範囲であるが、そのすべてに種山ケ原がモチーフとして扱われている」こと。つまり、「銀河鉄道の夜」も「風の又三郎」も種山ケ原が舞台であり賢治作品の原点であることを述べられました。また、「森の保育園」の可能性について「物見山で「高原」を朗読し、アザリアの広場で「星めぐりの歌」を合唱し、カタクリの広場で「牧歌」を歌い、せせらぎの広場で「やまなし」を読み聞かせ、水辺の広場で「どんぐりと山猫」の一人芝居を見る」という作品と関連づけた活動の例をあげられ、「賢治が感じたその場所で、賢治の作品に触れることができる。種山ケ原は正に住田町民の宝」と結ばれました。

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【写真】この年には種山ヶ原の森で実際に、
星鴉★宮さんによる宮沢賢治の一人芝居が上演された


  昨今、健康食品がブームで、テレビで「○○が良い」などと放送されるやいなや、その食品が売り切れてしまったなどと聞きます。また、癒し系・ヒーリング・森林浴・○○セラピーなども良く耳にします。病は自分が作り出した自然との不調和ということで、自然治癒力なども話題になったりし、社会での健康に対する意識の高さがうかがわれます。成人病が生活習慣病と呼ばれるようになり、普段の生活と病との関連が指摘されるようになりました。人はそれぞれ生活の中で自分を取り巻く人間関係やそれに伴う様々な要因を含め、全ての環境を「ライフスタイル」として形作り日常を過ごします。「養生」は生活や生命を養うという意味で捉えられますが、病気の様々な症状はライフスタイルや自分を見つめ直しなさい、という自然からのサインのような気がします。インディアンには「自然」にあたる言葉がないのだそうです。「自然」という言葉は人がそれからかけ離れてしまったときに造られたのだとも聞きます。

  ヘルス(健康)の元はホリスティックという古い伝統医学からの言葉だとインターネットで知りました。物質を分子・原子・電子・素粒子と還元していくのではなく、環境や宇宙全体との関連で全体を見る考え方だそうです。自然に逆らわない生活、または大自然の摂理に沿ってライフスタイルを作ることや自分の中に宇宙を感じる思いなど、「種山ケ原と宮沢賢治の世界」につながってきます。自然との関わりの中で、自分の中に自然や宇宙を感じ、自分も自然の一部であることを知ることにより、「自ら生きようとする力や意志」を育てる。種山ケ原での「森の保育園」活動は、そんな意味を持っているような気がしています。

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平成17年2月25日「学校保健だより」より




■森の保育園については、今後とも少しずつ情報発信します!


posted by happyisland at 23:31| 岩手 | TrackBack(0) | 森の保育園 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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