2006年11月26日

しるし

■久しぶりに実家へ帰省した。
■午前0時を過ぎても駅のホームには人が溢れる。いつの間にか、4本の高層マンションが空へ突き出している。青空だってくすんでいる。でも、やはり、何とはなく懐かしい。

■実家の門を抜け、真っ直ぐに進むと小学校へ突き当たる。歩いて数分の距離。僕の通った小学校だ。
■岩手の山々の落葉樹たちは、すっかり冬支度をしていたのに、小学校のケヤキやサクラは秋色の葉をまとっている。
■季節の違いを実感しながら、かつてよく遊んだ校門の奥へと視線を移す。ちょっぴり、ギョッとした。
■子供たちの遊ぶ姿は昔のまま。しかし、子供たちを見守る視線が一つ増えている。周囲に目を配るガードマンのおじさん、である。
■「仕方が無いのかな・・・・子供たちはどう思うんだろうな・・・・すっかり当たり前なのかな・・・・」とひとりごちながら、校門から実家に続く道へと入った。



■「今年は本を読んでいないなぁ」と思い、本屋に立ち寄る。前々から気になっていた重松清さんの小説を手に取った。
■実家に戻った期間中、その世界にすっかりと引き込まれた。『エイジ』、『ナイフ』、『ビタミンF』。読んだ多くの作品に「いじめ」が取り上げられている。10年近くも前に書かれた小説だ。

■重松さんの小説には、小学生高学年から中学生までの、子どもから大人へと踏み出し始めた時期の子供たちが登場する。
■集団でのシカト、ゲーム感覚、時には「ギャラリー」となり、いじめを黙して見守り続ける子供たち。本当に悲しくなるくらい、いじめへの描写も容赦ない。解決する事が不可能だと思うほどの、いじめの現実らしきものも。
■一方、いじめられる子供らも、黙して見守る子供たちも、みんな自尊心を持って生きている。健気なくらい、人として一生懸命に屹立する。
■そこが、悲しみの根源の一つなのかもしれないし、小説の救いであるようにも感ずる。きっと重松さんという人は、心の根っこで、すこぶる優しい人なのだろう。

■自分に当てはめてみる。そうだったかなぁ、そうかなぁ、そうかもしれない。誰かに聞いてみたい。解決するための可能性も。

■教育再生会議という所が、提言を発表すると新聞で読んだ。「いじめた児童・生徒に出席停止など厳しい対応を取る」ことなどを教育委員会等に求めるそうだ。
■小説の世界にあてはめてみる。クラス全員でシカトした場合は、そろって出席停止になるのだろうか。その気はなくても教師が加担していた場合には、先生だって出席停止になるのかな。誰が判断するのだろう。
■<ゲンジツ>から<リソウ>を考えなければ。<リソウ>を<ゲンジツ>に当てはめるのは良くない。
■ただきっと、提言する先生方だって、根本的な解決になるとは思っていないのだろう。問題は簡単ではない。あくまで対症療法だ。ただ、そこに悲しみがある限り、動かなければならない。余計な混乱を招くことがないよう、祈るのみだ。



■実家に戻った際には、大好きなミスチルのニューシングルも買った。"Mr.Children"という、大人と子供が掛け合わされた名のバンドの曲を、青春時代から、様々な想いを重ねてずっと聴き続けている。
■ニューシングルは「しるし」という曲。繰り返し聴きながら、ラヴソングだとばかり思っていた。

■岩手に戻り、陽も落ちて暗くなった道を、家まで車で走る。流れる「しるし」を聴きながら、ふと思う。
■これって、親から子へ綴られた詞ともとれるよな。

■自分に子どもが出来た時、ダメなことはダメとはっきり言えるだろうか。心の動きに、そっと寄り添えるだろうか。暗闇の中で、逃げ道を灯してあげられるだろうか。


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posted by happyisland at 23:25| 岩手 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 投稿者のひとりごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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