2006年04月14日

ハクウンボク

みつばちプロジェクトさんで「はちみつの糖度 白雲木の場合」と題し、ハクウンボクのはちみつが紹介されています!

hakuunnboku.jpg

■エゴノキ科エゴノキ属
■学名:Styrax obassia
■漢字:白雲木
■別名・方言:オオバジシャ
■分布:北海道、本州、四国、九州/朝鮮半島、中国
■落葉亜高木
■葉:丸っこい
■花期:6月
■性型:両性花
■やや自家不和合性
■虫媒花(マルハナバチの仲間など)
■動物散布(鳥?)
■冬芽:互生
■散孔材
■用途:器具材、彫刻材(?)

優しく美しい花

■白雲木とは、ほころぶ花の姿を白い雲に例えたことによるそうです。英語では、"Fragrant Snowbell "。「香りの良い雪の鐘」くらいの意味でしょうか。
■「優雅」という言葉がぴったりのハクウンボクの花は、国を変えても美しい名前をもたらしたようです。

■エゴノキ科の仲間は「スノードロップ・ツリー 」とも呼ばれます。木全体に散りばめられた白い花を、雪の降り積もった姿に例えたものかもしれません。
■一方で私は、花の形をとどめたままで散りゆくハクウンボクの特徴が、季節外れに舞う雪の情景を思い起こさせたのではないかと深読みしてしまいます。

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■風花とは、晴れた日に舞う粉雪のことですが、地上に舞い降りたとたんに消え去ることが宿命。花の盛りを過ぎたハクウンボクの下に降り積もる白い花は、美しさと儚さが同居する風花という言葉を連想させるのです。

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【写真】季節外れに舞い降りたハクウンボクの雪


大量に花を咲かせることの不思議

■昨年(H17)は、まさにハクウンボクの当たり年で、種山に生育する多くのハクウンボクが鈴なりの花を目一杯ほころばせていました。

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■かつて私が暮らしていた北海道の森では、ほぼ5年に一度、多くのハクウンボクが大量に花を咲かせる現象が見られました。
■大量に花をつけた年には、4ha(200m×200m)の森の中で、8割以上のハクウンボクが花をつけ、合わせて約30,000個の花序(=鈴なりの花一つ)が咲いたと推定されています。

■木々が同調して花を咲かせることを「一斉開花」とも呼びます。

■なぜ、大量の花を一斉に咲かせるのか?
■その理由の一つは、多くの花を咲かせることによって、花粉を運んでくれる虫たちをより多く誘うためと言われています。また、木々が同調して咲かなければ、他の木から花粉を受け取ることができないでしょう。
■これは、より多くの実を結ぶための植物のしくみです。

■一方で、同じ木の中に多くの花を咲かせてしまうと、次々と虫が同じ木の中の花を移動してしまい(=隣花受粉が進む)、他の木に花粉を運んでくれる割合が低くなるでしょう。特に、ハクウンボクの場合は、同じ木の中で花粉が運ばれてもあまり実を結びません(自家不和合性)。

■たくさん花を咲かせて虫を誘いたいけど、自分が咲かせた花の間で花粉が運ばれては困る・・・・これは植物にとって、大きなジレンマのようです。

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■このジレンマについて、ハクウンボクが一斉に花を咲かせた年に、北海道苫小牧の森で調べられています(加藤 2000)。
■その結果によると、同じ木の中で花をつけた数が増えても虫を誘う効果はなかった一方、ハクウンボクの木々が寄り添って多くの花を咲かせる場合には、実を結ぶ割合が高くなる傾向があったそうです。

■虫を誘う効果を生むには、「ただ独りでたくさん花を咲かせるだけではダメ。寄り添わなければ、意味がない」という感じでしょうか。


花を咲かせて実を結ぶことは大変・・・・

■花の美しさの裏には苦労があります。花をほころばせ実を結ぶためには、エネルギーが必要です。

花の赤ちゃん
【写真】赤ちゃんのような花のつぼみ。芽吹きの頃に。5月下旬に撮影

大きくなってきた果実
【写真】受粉を終えて花から実へ。果実はずいぶんと大きくなってきました。8月上旬に撮影

熟した果実
【写真】実が熟すと、黒いタネが顔を出します。10月下旬に撮影

■植物は、光合成をして、生きるためのエネルギーを得ています。葉で光を浴びて、二酸化炭素と水から炭水化物と酸素を作り出すアレです。
■また植物は、光合成で得たエネルギーをデンプンの形で貯め込むことができます。特に体の大きな樹木は、この貯め込んだデンプンが、子孫を残す上で重要な役割を果たしているようです。

■miyazakiさんたち(2002)は、ハクウンボクが繁殖に費やすエネルギーを調べています。
■どうやらハクウンボクは、その年に光合成で稼いだエネルギーや幹に蓄積されたデンプンよりも、花を咲かせた枝に蓄積されたデンプンを花や実に使っていたようです。特に、花をつけた枝とつけなかった枝とを比べたこの写真が、とても分かり易く説明してくれます。

■木をコップに例えて、毎年毎年養分が貯まっていくとします。ある年には、養分がコップからあふれ出すでしょう。
■様々な大小のコップに養分が貯まっていくと仮定して、コンピューターでシミュレーションをしてみると、あふれ出す年がある程度同調することになるそうです。このあふれ出した養分を花とすると、蓄積される養分によって、一斉開花のしくみが説明できるとも言われています

■ちなみに苫小牧の森では、2回の一斉開花が起こった7年間で35%のハクウンボクが枯死してしまったそうです。一斉開花と関係しているのでしょうか?


優しく美しい花の高貴な味

■みなさんは、ハクウンボクのはちみつを味わったことがありますか?
みつばちプロジェクトさんでハクウンボクを主蜜とするはちみつが紹介されています。採蜜場所は、住田町子飼沢。何と、種山の森の近くです。

■実は私も、みつばちプロジェクトさんに教えていただき、このはちみつを購入しました。

■さっそく味わってみると・・・・とても後味の爽やかなはちみつなのです!
■はちみつって、花の種類によって味が全く違うのですよね。それだけでも驚きでしたが・・・・優雅な白い花からミツバチたちが集めた蜜は、とても高貴な味でした。

■ハクウンボクの花の当たり年が5年に一度とすれば、ハクウンボクが主蜜のはちみつは、5年に一度のお楽しみになります。結構レアかも。

■数年をかけてエネルギーを貯め込み、大量の花を一斉に咲かせるハクウンボク。ひょっとしたらハクウンボクは、命すら削りながら、この蜜を生み出したのかもしれません。ハクウンボクの想いを胸に、このはちみつを味わなければ。
■でもでも、そんなことを忘れてしまうほど、ハクウンボクのはちみつは美味しいのですよね(^〜^)


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【写真】ハクウンボクの葉:丸っこい葉っぱです。




【関連する記事】
posted by happyisland at 00:21| 岩手 ☁| Comment(3) | TrackBack(3) | 種山ヶ原樹木図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
早速、充実した情報をありがとうございます。
雪のように降る花・・・ロマンチック!
5年間ほど、じっくりエネルギーをためておいて、申し合わせたように一斉に花を咲かせるというわけですか。根のあたりで樹木間でコミュニケーションを図っているのでしょうか。「来年は一斉にいくからね。準備しておくように」なーんて。
この時期に住田町に行って、白雲木に会いたいです。
みなさん、みつばちプロジェクトにも、時折、お遊びにいらしてください。
Posted by Honey Queen at 2006年04月14日 09:43
サーフィンして参りました
最近、葉と幹の感じにホレまして、にわかハクウンボクfanとなっているものです^^; 
種山、一斉開花すばらしいですね。ハクウンボク、雪となってもなかなかですね。
こちらではあまり見かけないのですが、上野動物園と井の頭公園には数本植えられているようです。 ちょっと検索してみた限りでは成長が著しく伸びがよすぎて剪定が欠かせないんで庭木には不向きなんでしょうかね・・
私はまだ花を見たことがないのですが、満開のさまぜひにもこの目でみてみたくなりました。
はちみつがあるとは知りませんでした。本当にレアですねー
Posted by カニステル at 2006年05月06日 00:34
*カニステルさん*

はじめましてm(__)m 僕も、ハクウンボクの清楚な美しさに惚れ込んでいます(⌒‐⌒)

伸びすぎてしまうのですね。僕が北海道の森で見ていたハクウンボクは、亜高木(森のてっぺんまで出ることは少ない)で、燦々と光を浴びていた記憶に乏しいです。種山の森で見ている木は、植栽も多く、明るい場所に育っています。確かに、すくすくと大きくなっています。庭木にしては、大きすぎるのかも。

ハクウンボクのはちみつはとてもとても美味しいですよ(*^^*) ハクウンボクの高貴な白い花のイメージそのままで、後味がとても清々しいのです。
視覚や聴覚はネットでお伝えできるけど、味覚は・・・・とても残念です(^-^;
Posted by happyisland at 2006年05月07日 19:53
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はちみつの糖度 白雲木の場合
Excerpt: 岩手県江刺市でみつけたのが白雲木が主蜜のはちみつです。
Weblog: みつばちプロジェクト
Tracked: 2006-04-14 09:46

ハクウンボクが咲いています
Excerpt: 3cm位の花がズラズラっと咲いています。
Weblog: 七夕ビンゴ
Tracked: 2006-05-07 02:46

むくげが咲いています
Excerpt: 自信、ないですけど・・、ハイビスカスやふようも似ていますので、よく間違えます(^^)。
Weblog: 七夕ビンゴ
Tracked: 2006-08-07 03:12
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